先日、ショートステイ中の父が転倒し、施設から「今から救急搬送しましょうか?」
翌日には、入所中の母が夜間に転倒、「救急搬送しますか?往診かけますか?」と確認の連絡がはいりました。
両親とも状況を聞いて搬送の必要はないと判断しお断りしました。
すると「いいんですか?」と驚かれていました。
搬送を断る家族はめずらしかった様です。
という事は、転倒したら搬送するが当たり前の様になっているという事。。。。
搬送ありきの連絡に感じること
施設には転倒時の対応マニュアルがあって、転倒があれば家族に連絡をし、搬送や往診の希望を確認する事になっています
でも、夜中に突然の電話で「救急搬送しますか?」と訪ねられたら、多くの家族は驚き、冷静に考える間もなく「お願いします」と答えてしまうのではないでしょうか?
実際には、救急病院に行っても、一通りの検査を長時間待った末「特に異常なし」で帰所する事が多いのです。本人も家族も疲労困憊する事間違いなし (下記のおまけ搬送事件読んでね)
救急車・病院・医療費は現在逼迫しています
緊急性のない搬送は、できれば控える方が良いのではないか。。。と思いが湧いてきます。
施設側が恐れている事
施設が、すぐ搬送を提案する背景には、
『搬送しなかったせいで容体が悪化したら、家族から責められるかもしれない』
『転倒させたのは施設の過失だと訴えられるかもしれない』という恐れがあるからだと思います
特に介護にほとんど関わらない家族ほど、転倒や容体の変化に対して強いクレームを入れる事が多いと聞きます。
そんな事情を思うと施設の職員さんが搬送を勧めたくなる気持ちも良く理解できます。
夜勤の現実
施設によって違いますが、夜勤では9名から30名ほどを1人で介護している状態です
どれだけ対策をしても転倒を完全に防ぐ事は不可能です
救急搬送になれば、家族が到着してから同乗して搬送する
施設職員が同乗して搬送する
(この場合は夜勤者意外の職員か職員減でその他の入所者対応する事になります)
施設側の負担になり新たなリスクが高まります
介護の現場は、職員さんは高齢化し、若い方の入職は少ない上に離職率も高いため、
慢性的な人手不足です。
家で介護できないから施設にお願いしているのですから、
理不尽なクレームや訴えで追い詰める行為はやめてほしいと切に願います
現場を更に疲弊させてしまうばかりです
搬送希望の目安を伝える
ショートステイに下記の手紙で 搬送の目安を提案しました。
いつもお世話になっております。
前回は父が転倒し、ご心配をおかけしました。
傷もすぐに治癒し、全く異常なく過ごしておりますのでご安心ください。
どんなに対策していただいていても、転倒などは起こる時には起こるものと理解しております。
今後も対応についてクレームを申し上げるつもりは一切ございませんので、どうぞご安心ください。
ただ、今後の対応についてお願いがございます。
私は、超高齢となった父に対して延命は望んでおらず、できる限り穏やかな最期を迎えさせてあげたいと考えております。ただし、痛みや苦痛の緩和は必要と考えております。
救急搬送をお願いしたいのは下記の場合です。
- 呼吸困難で苦しんでいる時
- 強い痛みが続く時(部位は問いません)
- 嘔吐や吐き気などが続いて苦しんでいる時
- 骨折の疑いが強い時(痛みを伴うと考えられるため)
- しばらく圧迫しても止まらない大量出血がある時
(少々の傷は保護だけして頂ければ帰宅後処置します)
何か起きても、本人が痛みや苦しみを感じていないようであれば、様子を見て頂ければ幸いです。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
その後、ショート利用中に夜間にまた転倒しましたが、様子をみて頂き、翌朝報告だけ受けました。
そして帰宅後も何事もなかった様にすごしています。
平穏な最期を迎えるためにも
家族が本当に考えるべき事は「すぐに搬送するかどうか」ではなく
「本人はどんな最期を望んでいるかのか」「どんなケアなら安らかに過ごせるか」ということだと思います。
そして、いざという時に迷わないために家族で話し合いをしておく事をおすすめします。
ちなみに
両親のリビングウイル(事前意思表明書)は記載済
定められた書式はないのですが、いろんな様式がネットにあげられています
それを記載しながら人生会議をする事に意味があるのではないでしょうか?
いざという時の迷いが軽減されますのでおすすめ致します。
おまけ:両親の救急搬送事件
在宅介護中の父の場合
仕事から帰るとローカで血を流し倒れている
意識はもうろうとしている、麻痺はない様だが、全く動かない
そのまま様子を見たかったがそのままにもでききず
救急車を呼んだ
救急病院に搬送される途中で会話ができる様になった
到着してからひたすら待つ、次々と救急車で運ばれてくる
検査後待合室で「帰るぞと」何度繰り返し言ってる父
搬送されてから待つ事5時間経過、やっと診察室へ

傷はテープで固定しました、そのままでいいですよ。CTの結果は以前の血腫は残っていますが、脳が萎縮して隙間が沢山あいているので脳に影響はありませんので大丈夫です。帰ってもらっていいですよ
車椅子を借りタクシーを呼んで帰宅 オムツはしていたが尿漏れしている、用心のためにタオルを敷いていたのとタクシーがナイロンシートだったのでセーフ!
帰宅して車椅子を返却しに再び病院への往復、帰宅したのは日付の代わった深夜
やたらと車椅子が重くて車への上げ下ろしが大変だった。
6時間に及ぶ救急搬送事件
結局の所酒を飲んで泥酔していたと思われる
そして全く記憶にない・・・・
不都合な事は綺麗に忘れ去るという都合の良い認知症
翌日は有休をとり、
救急車を呼ばなくて良い様に
在宅診療を依頼し契約しました。
遠距離介護中だったの母の場合
遠距離介護中の事です
訪ねてくれた親戚から連絡がはいりました。
「母はベットの横で倒れている、オムツパンツは脱げかけで失禁してる呂律が回らずフラフラよ」
急遽実家に駆けつける(1時間)
父はソファーに座り「わしはもう知らんぞ~」と言ってそれまでの経過は不明・・・
親戚の建前救急搬送する事になり搬送
保険証などや入院準備をして救急車を追いかける様にして搬送された病院に駆けつける(1時間)
採血、CTなど検査され異常なし

数日でいいので入院させてもらえませんか?

どこも悪くないのには入院はできませんのでお帰りください
脱水の可能性もあるのでとりあえず輸液をしておきます
施設に入れた方が良いのではないですか?

そうですよね・・・
搬送されてからすでに(6時間)経過しており
オムツしていたが吸いきれず尿漏れ多量で衣服もベットを汚してしまう
全て交換して(入院準備していて良かった。。。)
実家へ帰宅(1時間)
帰宅すると母は何事もなかった様にいつも通り
救急搬送された事もどうしてそうなったかも全く記憶にございません
その後も完全に記憶から消されています。
9時間に及ぶ救急搬送事件
酒を飲みすぎて泥酔していたのではないかと思いますが、真相は闇の中
施設入所決断にきっかけになった事は確かです。
まとめ
超高齢な両親には何が起こるかわかりません、できるだけ早くいざという時はどう対応するのか、どうして欲しいのかの意思の確認など家族で人生会議をされる事をお勧めします。
介護施設には対応の希望を伝え施設側にも安心して対応できるように配慮しましょう
施設にある「対応の同意書」が存在していますので申し出て記入しておきましょう。
不要な救急搬送を減らす事ができると思います、
平穏な最期をむかえるためにも。。


